この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
俺が草を食べ終えるとボスはまた俺を背中に乗せた。


暗闇の中

草むらをゆっくりとかき分けながら歩くボスの背中は痩せているのにたくましかった。


たった1日で俺は自分がどれだけ非力なのかを知った。


そしてどれだけ傲慢だったのかを知った。


俺の知らなかった外の世界を生き抜いてきたボスからしたら


俺は甘ったれと言われても仕方ないのかもしれない。


『…いろいろ悪かったな』


俺はぽつりと呟いた。



ボスは無言で歩き続けた。









白いアパートが見えた時、俺はやっと少し緊張が溶けた。


ボスは玄関の前まで来ると俺を下ろした。


安堵したせいか力が抜けた俺はもう立つことも出来ず、その場に座り込んだ。


そんな俺の前に弁当箱を置くとボスはそれを見ながら言った。


『まぁ…甘ったれだが根性だけは認めてやるニャ』


そう言うとボスは玄関を何度か叩いてから足早に去って行った。


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