この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「ちょっ…待てよ美代!」


俺も慌てて降りると美代の後を追う。


しかしその後、美代はしばらく口をきいてくれなかった。









森を進むと、一部木々が無くなる場所がある。


それまで木々に遮られ鬱蒼と薄暗かった雰囲気も


この場所にはきらきらと日光がこぼれてまるで天国のようだった。


柔らかな芝のような雑草に山花が咲くこの場所。


ここは昔から俺のお気に入りのスポットだった。


「マサルさんにここを見せたくて」


ようやく立ち止まった美代は、こちらを振り向いた。


「綺麗でしょ?私のお気に入りの場所なんだよ」


「…………」


はにかむ美代はその場に座り込んだ。


「昔よく、うさぎのマサルさんともここに来たんだ~」


美代は黄色い小花を摘むと、小さな花束を作り始めた。


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