この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
「ありがとな、太郎。」


『ブゥ~』


そして俺は、太郎に今まであったこと、これから消えることを話し始めた。


『ブ、ブヒ…?』


最初、太郎は天使の話に目を丸くしていた。


「はは、やっぱり信じられないよな?」


しかし太郎は首をふった。


『し…信じるブヒよ!だってマサルの話だから。だけど…マサル本当に消えるブヒ?』


「あぁ。それは多分どうしようもないな」


『ブ…ブヒィ…』


すると太郎は泣き出した。


「なに泣いてんだよ…」

『だって…淋しいブヒよ…マサルが消えちゃうなんて…嫌ブヒィ』


丸いつぶらな瞳から真珠のような涙をこぼして泣く太郎。


「うん、ごめんな太郎。俺も…淋しい」


淋しい。


俺は初めて言葉に出した。


言葉に出した途端、俺の鼻の奥はツンとした。



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