この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
『は…?恋??』


ボスの意外な言葉に俺は顔をしかめた。


『何言ってんだよ?俺はうさぎで美代は人間だぞ?』


性別や人種を越えた恋があったとしても


さすがに種族を越えた恋はないだろう。


しかも猿やチンパンジーみたいな人間に近い種族じゃない。


俺はうさぎだぞ?


そんな俺にボスは言う。


『常識ではあり得ニャいとしても。マサル坊が抱えるその感情は、間違いなく恋だと思うがニャ』


『…………』


じゃあ…俺のこの胸の痛みは、常識の枠からはみ出してしまった恋心ってことか?


俺が戸惑いを隠せないでいると白鳩の銀が言った。


『マサル氏は言葉を理解する所をみると他のうさぎより頭脳が高いポ』


『え…?』


『それが異例な感情の発達に結びついたと考えれば…ボスの言う通りかもっポねぇ』


『いや別に…俺は耳が良いだけで頭脳は普通だ』


『クルック~そんな事ないっポよ?マサル氏は確実に特殊っポ』


『…………』


白鳩の銀はなにを根拠にそこまで自信満々に言い切るのか。


しかも特殊ってなんだよ…


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