この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
――――――――
――――…





『チュ~…チュ~…!』



耳元でネズミの鳴き声が聞こえた。


「―――…ん…」


『マサルさん!?マサルさんでチュよね!?』


「………?」


『ワタクシ…ゴミ捨て場にいた紗夜子と申しまチュ!』


「…!!!」


紗夜子の言葉に俺は体をガバッと起こした。


「う……?」


頭がズキンとなる。


疲れ果てた俺はいつの間にかベンチの上で気を失っていたらしい。


朝が近いのか、暗い空の向こうはぼんやりと白んでいた。


「ゴミ捨て場にいたのか?な…何か見たのか?」


俺は小さな紗夜子を手のひらに乗せた。


紗夜子は身ぶり手振りで必死に答える。


『はい!ワタクシたまたま見たのでチュ!ゴミ袋を持ってた女性が黒いワゴン車に乗せられてたのでチュ!』


「……!!!」


『一瞬の出来事で…それから先は分からないんでチュが…』


紗夜子は申し訳なさそうに俺を見つめた。


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