この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
その夜――――…









宴がお開きになったあと



山吹と銀は星空の中、緑地公園の木の枝に座りながら、美代とマサルの部屋を見つめていた。




寝室の灯りがぽぅ…と消え、
二人が眠りについたことを知らせる。




『ポよ~…食べ過ぎたっクル』


けぷっとお腹をさする銀に山吹は呟く。



「マサルさん…多分今夜あたり力が復活するな」


『え?ほんとっポよ?』


「おぉ、めっちゃ楽しみやぁ。パニクる二人を絶対見たんねん」



うしし…と山吹は笑った。



『その後のマサル氏はどうなるっポよ?』


「ん~?まぁ、天界に連れて帰るんがほんまは妥当やけど…きっと美代ちゃんと離れるんマサルさん嫌がるやろなぁ」


『クルック~』


山吹は足をぷらぷらさせながら空に浮かぶ月を見た。



「せやからな、まぁ俺がもっかいオヤジに頭下げて、なんとかしてみよかなぁ…とか思ってる」


『ポよ…?!』


「しゃーなしやでな?あと気ぃ使わせるん嫌やからマサルには内緒やで?」


『…………』


山吹の言葉に銀は目を潤ませた。


『山吹…たまには良いとこあるっポね!』


「ははん、何を今さら。俺は常に良い男やで」


『クルック~!』


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