この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
『じゃあ俺の魂を美代に渡してくれ』


俺は迷うことなく袴男にお願いをした。


「……………」


『頼む』


袴男は呆れたように頭をかきながら辺りを見渡した。


事故渋滞で遅れていた救急車のサイレンがようやく近付いてきていていた。


「ほな、急がなアカンなぁ」


袴男は根負けしたというようににやりと笑った。


『あ…ありがとう!』


「ええよ。これも俺を見ることができたウサちゃんとの何かの縁やろしな」


『はは……』


「ついでに言うと後の記憶操作やらも色々かなり大変なんやで?」


袴男は微笑みながらそんな事を言った。















そんな時だった。



『後処理の責任なら僕が取るっぽよ』


バサバサという羽ばたきと共に聞き覚えのある声が頭上から聞こえてきた。










――え?


俺が驚いて見上げると


そこには白鳩の銀が飛んでいた。


『山吹、とりあえず急ぐっポ!美代氏が病院に搬送されたらますますややこしくなるっクル~』


「お~銀さん!銀さんも手伝ってくれるんやったらそりゃ心強いわ♪」



銀の登場に


袴男のテンションも一気に上がっていた。


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