先見の巫女


「…何て事でしょう…」


晴明は荒れ狂う天候と邪気を見て眉間にシワを寄せる。


「雛菊の見た未来が現実になろうとしています…」


雛菊が見た未来…?


「晴明様…雛菊が見た未来って…?」

「朱雀君…君にはまだ話していなかったね…。あれは帝の命で雛菊が未来を見た事から始まる」


晴明はそう言って、雛菊が見た最初の先見の話を始めた。



―――――――――


話が終わった頃には
空はすっかり闇夜に包まれていた。


闇に染まる夜空を、朱雀は一人見上げていた。


雛菊が龍となって消えてから、一日。あいつがいない事…まだ信じられない自分がいた。






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