先見の巫女


『どうか…繰り返さぬように…』


悲痛に訴えるその声の主は何度も何度も訴える。


“生きろ”と…


あなたは一体……


『翠…私の名は……翠…』


「翠………」


名前を口にした瞬間ー…
光が弾けた。


その中に翠色の長い髪を一つに束ねた青年が姿を現した。


その手に握られていたのは永久朱雀…。


あなたは…何故あたしを知っているの……?


『過去を…あなたになら見えるはずです…真実を……』


翠の姿がぼやける。


いなくならないでっ…
行かないで!!!!


ぼやけていく翠に向かって慌てて手を伸ばす。





< 88 / 216 >

この作品をシェア

pagetop