いい意味で
第九章 生活の月

第九章 生活の月

11月中旬。もう風が冷たい。これから冬が来る事を告げるかのように、陽が急いで落ちていく。
あの夜を越えて、半年という月日が経ち、僕は変わらずに日々を過ごしていた。
かおりちゃんとりうは連絡を取っているらしい。
おんちゃんもゆりかちゃんとたまに連絡を取ってるらしい。

僕はといえば、あれからもう若菜さんとは連絡をとっていない。
あの後メールが入ってきたけれど、返事は返していないんだ。

時に襲われるのは、妖怪になるかもしれないという事。
そして、若菜さんが何も知らずに殺されそうになっていたのかもしれない。
ということ。
交通事故も含めて二回。

もし妖怪とはいえ、普通の女の子だったら
僕はひどい事を言い、してしまったのではないだろうか。
いや、本当は知っているんだ。若菜さんを傷つけたことを。
その気持ちが浮かぶたびに、僕の何かはうごめく。
何なんだろうか。

チクリと感じる後悔。そして不安。

さっき、変わらずに日々を過ごしてると言ったが、やっぱりそれは間違いだ。
確実に前の生活とは変わった。

僕は何かを見失っていたかもしれない。

そう。そういえば、若菜さんのおじさんの平井実とは、月に一回のペースで会っている。
だからもう五回ほど。僕の経過を知るために、そして教えてくれる為に、おじさんが東京に来た際は会っているんだ。

最初はさすがに警戒をしていた。
だけど僕の予想とは反して、おじさんは良い人だった。
前に青森で若菜さんのお父さんが言ったように、少し変わってはいるが
とても親身に僕の事を気にかけてくれている。

だからこそ、更に分からなくなる部分もある。
何故若菜さんが殺されそうになったのか。そして、僕等も。

だが今のところ解決策はない。妖怪と輪廻交換をした僕が
いつまで人間でいれるのだろう。という事も。
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