落としモノ



あたしの口が
以前すれ違ってしまったときのように
勝手に動き出した


「モノは拾えても
あたしには記憶は拾えない
自分の記憶でさえも
落としたことに気がつかない」


「それは僕も同じだよ」


「うん、だからさ
もしまたあたしが落としたら
拾ってくれる?」



あたしはこの言葉に
この想いをたくした



ーーこの先、
琉生との思い出をふやしたい

どの思い出にも
琉生が居てほしいんだ

あたしが今この時を忘れるくらい
時間が経ってしまっても


琉生は隣にいてくれますか?ーー




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