ショコラ~恋なんてあり得ない~

一歩先を歩く宗司さんの後姿。

柔らかそうな髪が風に揺れて触ってみたくなる。

だけど無理。
友達はそんなことしないから。

ただ見ていると、胸がキュッと詰まる。

言葉に例えるなら、切ない、かな。



……冗談じゃないわよ。
あたしもう二十二歳なのに。

そろそろ刺激的な恋愛したっていいはずじゃない。

なのに実際は、中学生の初恋みたいに『友達』って言葉に翻弄されて動けなくなってる。


あたしは好きになったのよって、言えばいいのに言えない。

振り回してしまえばいいのに出来ない。

なんでこんな嫌われたら怖いなんて思ってしまうの。


恋ってこんなもんだったっけ。

親父との攻防に忙しくて、ここんとこずっとマトモに恋愛なんてしてないから、忘れちゃった。

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