ショコラ~恋なんてあり得ない~

でも、マサといい親父といい、すっかり宗司さんがあたしの彼氏かなんかだと思っているのかしら。


「試作品は進んでるか?」


黙っていると、突然仕事の話に戻された。
なによ、調子狂うわね。


「一応、色々作ってみてはいる。でも、父さんは結局マサのを選ぶんでしょ?」

「なんでだ?」

「だって、マサの方が上手に決まってる。見た目だってあたしにそんなに綺麗につくれる訳ないじゃない」

「見比べてみなきゃわからんだろう。それに、お前は俺が思っていたよりも商品知識がある」

「え?」


意外な言葉を聞いて、あたしは動きが止まってしまう。

親父の方はいつもケーキを作るとき見たいな真剣な顔で顎をさすっている。



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