ショコラ~恋なんてあり得ない~
「マサはイヤじゃないの?」
「いや。……正直、このアイディアは俺からは出ないからな。
いつかもっと凄いの考えてやる。でも、今回は詩子のを作らせてもらおう。
試しに試作してみよう。詩子、来いよ」
「分かった」
二人で厨房に戻り、皆のグラスを片付けつつ使った材料をマサに伝えて行く。
「中のゼリーをアイスにしてもうまいかも」
「ああ、そうね。とければミルクがけみたいになるし」
「それも作ってみて食べてもらおうか」
「うん」
大きな指が繊細に動く。
どうしてあの氷の上にあんなに器用に何でも載せていけるんだろう。
不思議で仕方がない。
いつかマサがこの店をやめたいって言い出したら、本気で困るなぁ。
今度もうちょっとお給料あげてやんなさいよって、親父に言っておかなきゃ。