ショコラ~恋なんてあり得ない~
「……ごめんね」
「ん? なんだ?」
「何でもないわ」
「何でもないのに謝る訳ないだろう、お前が。一体何をしたんだ!!」
「お前がって何よ! あたしだってたまに謝ることくらいあるわよ、失礼ね」
「だから何をしたんだ」
「何にもしてないけど、謝りたい気分だったの! しつこく聞かないで、ウザイ!!」
「ウザイって……」
肩を落とす親父。
ああもう、ホントにウザイ。
前に売り言葉で言った通り、本当にマサに買い取ってもらえばいいのかしら、この店。
そしたら親父を落胆させることもきっとないわ。
でもそしたら、あたしはどうすればいいんだろう。
喫茶店なんて似合わないからキライ。
そう思ってたけど、
あたしに他にできることなんて、何にもないじゃないの。