そら。―HAPPY STORY―

居ただけだ。



ちょうど、宮下香の話をしていただけだ。




“香が、 どうして?”




呼び捨て、ってことはよく知った仲なのか?



俺はまあいいや、と香にガラス越しに手を振った。




香は手を振り返そうとして





夏美と同じく固まった。








固まったどころじゃなかった。



意を決したかのように走り出し、カフェ店の扉に触れた。







ほぼ同時に、





「いっ―――井野崎くん!」









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