姫と王子のらぶらぶ日和。【完】
学校を出た、帰り道



俺たちは一言もしゃべらず、ただただ横に並んで歩いていた



最初のうちは姫が色々話しかけてきたけど、俺の反応に少しずつしょんぼりして、しまいには何も話さなくなった



姫が再び口を開いたのは、姫の家の前でだった



「ねえ、何怒ってるの」



「怒ってないよ」



「嘘」



真剣な表情で問い詰めてくる姫から、思わず目を逸らした




「嘘じゃ、ないよ」



俺の口から出たのは情けない否定の言葉



「言いたいことがあるなら、はっきり言ってよ」



「別に、ないって」



聞けるわけないだろ




『他に好きな人がいるの』なんて・・



ああそうか




俺は怖いんだ




自分を否定されるのが・・




俺は





俺はなんて情けない男なんだ










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