恋人ごっこ


 「俺さ、唯のこと信用してた。でも、見損なった」


 「え・・・」


 「もう終わりな。悪かった。・・・じゃあな」



 冷たくそう言われたら涙すらでてこないよ。



 バタン。

 あっという間に玄関のドアが閉められた。




 なんでこうなるの?
 なんで素直に言えなかったの?

 夏樹先輩のことも、
 あたしの気持ちも、
 全部全部言えばよかった・・・。


 こんな形でサヨナラなんて最悪すぎるよ・・・



 家に帰って泣いた。死にたくなった。
 あたしは文哉を傷つけたんだ。

 残ったのは、胸の痛みと悲しみと

 消えないたくさんのキスマーク。

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