ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
レオはバドの後ろに続き、マントを風に靡かせながら風を切るように走っていた。


王宮を出ると、どこまでも続くような深遠な森が広がっており、その森に隠れるようにしてぽつりと一軒家が建っていた。


ヨーロッパの邸宅を彷彿とさせる煉瓦造りのシックな色調の重厚な外観。


木製の立派な玄関にはアイアン製のお洒落な呼び鈴がついていた。


「ここはシャオン様とヴラド様が一時期暮らしていた家を復元したものです。
二人が住んでいた家は燃えてしまい、シャオン様が大変落ち込んでいるご様子だったので、同じものを作らせたのです」


「シャオンって母さんのことだよな? 
どうしてお前たちは母さんをシャオンって呼ぶんだ?」


「シャオンというお名前は、ヴラド様がおつけになったお名前。
シャオン様の本名を口にできるのはヴラド様お一人だけでございます」


「う~ん、よく分からないが、とりあえずここでは母さんはシャオンなんだな」


「そうでございます」


「家が燃えたって言ったが、何が起きたんだ?」


すると、銀縁の眼鏡の奥のバドの眼が鋭く尖った。
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