ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
茜は唇を塞がれ、声を殺された。


固く閉じた口を無理やり開かれ、キルリアの舌先が口内に侵入してくる。


茜の舌を絡め取るように動くキルリアの舌は執拗でねっとりとしていた。


それなのに、舌を強く吸われる度、体の奥がじんとするような快感に襲われる。


茜は力いっぱいキルリアの体を押し返していたがビクともしない。


(いや……助けて。助けて……)


頭に浮かんだのはレオの顔だった。


(こんなの……嫌っ!!)


茜は渾身の力でキルリアの体を押し返した。


キルリアは不快そうに茜を見下ろす。


息が上がり、肩を上下に動かしながら茜はキルリアを睨み付けた。


「あなたのものにはならないっ!」


茜が勢いよく言い放つと、キルリアは刺すような眼差しを茜に向けた。
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