ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
レオの部屋では、心配そうにベッドを見つめるレオと日向の姿があった。


ベッドには暖かな布団を被って寝ている茜の姿があった。


頬には赤みがさし、小動物のような愛くるしい寝顔だった。


「……上手くいったのか?」


「分からへん。目が覚めるかどうかも怪しいところや」


「そうか……」


重たい空気が部屋に流れた。


レオは茜の顔を瞼に焼き付けるように見つめ、そして意を決したように口を開いた。


「假屋崎の隠れ家に行く」


「は!?」


「假屋崎は、もう人間界に興味はないと言っていた。
早く行かないと人間界からいなくなるかもしれない」


「無理や!そんな身体で! フラフラやんか!」


「茜をこんな目に合わせておいて、黙ってられるか!
それに魔界に逃げられたら、もう捕まえられないかもしれない」
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