ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
額に手を当てて、真っ青になりながら壁に寄りかかる怜央を見て、茜は心配そうに顔を近付けて怜央の肩に触った。


小首を傾げる茜の襟元からは、白くて細い首筋と、綺麗な鎖骨が見えていた。


途端に怜央の瞳の色が紅く光る。


「触るな!」


凶暴な欲望を振り払うように、怜央は茜の手を乱暴に弾いた。


突然の怜央の行動に、茜は目を丸くして固まった。


側で見ていた日向と假屋崎も凍てつく。


茜は怜央に叩かれた手がじんじんと痛んだが、それよりも拒まれた心の方が何倍も痛かった。


「怜央ちゃ……」


ショックで泣きそうになっている茜の顔を見て、怜央はハッと我に返った。


ごめんの一言が出てこない。


まだ怜央の鼻は麻痺していて、とろけそうに歪む脳に身体がついていかなかったのだ。
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