お隣りさんlover

運命の悪戯




初めて霊安室に入った

何となく肌寒い
その狭い部屋の中央に白い布をかけられたおじさんがいた

一見寝てるだけに見える

それでも真っ白い顔は生気を感じられない



こんなおじさんは初めてだった


当たり前か…




本当に死んでるんだ




よく由希子の家に遊びに行っていた時に優しくしてくれたおじさんはいない

同じ娘の様に可愛がってくれたおじさんはいない






どこにもいない



「っ………」





自然と涙が零れた





「おじさん……ごめんね
あたしやっぱ・・・こんな大変な時に由希子に何も出来なかった

こんな駄目な友達で…ごめんなさい」






おじさんは頷いてくれなかった






命って…こんなに一瞬なのかな



この前まで「奏ちゃん」って優しく声をかけてくれた




それなのに…





自分の父親じゃないのに



私は霊安室でずっと泣いてた




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