当たらない天気予報
行く末見えない
たまに「俺はなんで共学の高校入ったんだっけ?」って考える。
で、「そうそう、サッカーが強いからだ」って思い出して、毎度お馴染みの自問自答おしまい。
無理矢理納得させてる感じは否めないけど。







部室から駐輪場に続く校舎裏で、湊(みなと)は俺を待ってる。


「湊、遅くなって悪ぃな」


湊の明るい茶髪は日が沈んだ後でも一際目立つから、湊が俺に気付くより先に俺が湊に気付く。
堂々の校則違反が湊らしい。
しかも、また一段と茶色くなったんじゃないか?外灯の下でははっきり確認出来ないけど。


「一紀(かずき)!」


俺の声に反応して、フェンスにもたれて携帯をいじっていた湊が顔を上げる。
大方アプリのゲームでもしていたんだろう。
暇さえあれば湊はゲームばっかりするから、すぐに携帯の電池が無くなるんだ。
それで俺と連絡つかなくなったことが何度かあるくせに、持ち運び用の充電器を持たないのはどういうことだか。
携帯をポケットに押し込んで顔を綻ばせる湊は、のろけたくなるくらい可愛い。
犬みてえ。


「お疲れ!今日は部活早く終わったんだな!」


コーチに絞られてくたくたの身体に、湊の元気いっぱいの声が響く。


「おう。明後日試合だから、あんまり今のうちから疲れさせても…ってな」

「ふうん」

「お前、どこで時間潰してたの?」

「図書室にいた。で、寝てた!」


あはは、と湊は笑うが、授業中も8割方は眠りこけているくせに、まだ眠れるのかと思うと最早羨ましい。
寝る子は育つと言うが、気の毒にも湊はいくら寝ても165cmから背が伸びない。
そして、いくら食べても太らない。
成長期に見捨てられた高校生だ。
尤も、その小柄な体つきを俺は気に入っているわけだけれど。
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