。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。

*戒Side*


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** 戒Side **


夏休みも一週間が過ぎた。


今年も猛暑だ。


うだるような暑さの中、エアコンが効いたカフェでバイトに励むこと一週間。


バイトは初めてじゃない。


アメリカに居るときもやってたし、体を動かすことも苦じゃない。


しかも客は若い女が多くて、目の保養になるしな♪


店員が男ばっかだから、最初はかなぁり沈んでたケド。





それもこれも朔羅と色々出かけたいからだ。


貯金は少しはあるけど、やっぱりいつでもあいつの分もかっこよく払ってやりたい。


あの龍崎 琢磨は超!がつくほどの金持ちだし、響輔だってバイトして稼いでいる。


かいしょなしの男でがっくりこられるのがイヤだったから。


もちろん、朔羅はそんなこと気にしないだろうけど。


それでもやっぱりプライドってもんがある。



―――……

その日もいつも通り出勤。


朝のミーティングでずらりと並んだアルバイト店員を前にして、若くて長身の店長がにっこり笑って言った。


男の俺からみてもそこそこかっこいいと思うのに、残念、こいつはちょっとおネエが入っている。


「みんな聞いて♪」と店長はにこにこ顔。


何だよ…朝はテンション低い…って言うか機嫌悪りぃんだよ。その気持ち悪い声でわくわくした顔をこっちに向けンな!


なんて思いながら俺は欠伸を漏らした。


「今日から新しいバイトの子が入ることになりました♪しかも、女の子!」


バイト店員たちにどよめきが走る。


みんな考えることは一緒なんだよな。やっぱ華がなけりゃ、華が……


「さ、こっち来て~」


と店長が手招きして、ひょっこり顔を出した女を視界の端に入れると






欠伸途中だった俺の開いたままの口が、その場で固まった。




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