。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。

イチ!?



◇イチ!?◇




結局叔父貴に連れられて、あたしは青龍会本部をあとにすることになったわけだけど。


女のことを聞いても「ちょっとした知人だ」としか叔父貴は答えてくれない。


どんな知人なんか、どんな関係なのか。問い詰めても、険しい表情しか返ってこず、結局あたしはそれ以上聞けなかった。


車に乗り込み、シートベルトをはめると


「なぁ叔父貴。“狐の嫁入り”って何??何かの暗号?」と話題を変えてみた。


「狐の嫁入りぃ?ああ、そりゃ夕立のことだ」


夕立…?


あたしは窓から空を見上げた。


空は晴天で雲ひとつない。雨なんて降る気配がないし。


あの女もでたらめ言いやがって!それにわざわざ暗号めいた言い方しなくたっていいだろ!?


なんて思っていると、それから間もなく雨がぱらつき、数分後はザァザァ降りになった。


空は明るいのに、視界を覆うのは雨の霞だ。一種異様な光景に不気味な何かを覚え、


またもぞくり…と背筋を何かが這う。




何で……あの女は夕立が来るなんて分かったんだろう。




あの女は夕立のほかにも“龍崎会長”にも気を付けてと言った。


あの女は叔父貴の何を知っているのだろう。





叔父貴とはどういう関係だろう…


ドクターも…あの女のことを知っている様子だった。


それにあの女―――あたし見たことある。


「あー、結構降ってきたな」なんて言って叔父貴はワイパーの速度を速めた。


家に帰りつくまでに止まないかな…


洗濯物だって干しっぱなしだし…


って、洗濯物!!!



あたしは慌ててケータイを開いた。






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