。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。


涙を拭って鼻をちょっと啜っていたときだった。


リコから電話があった。


『朔羅、どこ?』


あたしは慌てて上を向いた。


「あ、うん!大丈夫だよ。キョウスケは一緒?」


『うん、二人だよ。こっちは大丈夫♪でも朔羅が心配だよ』


リコの声はちょっと緊張で硬かったけど、特別沈んだ様子はなかった。


あのキョウスケといきなり二人でちょっと心配でもあったけど、どうやらこっちは大丈夫そうだ。


「あ、あたしも大丈夫!マサたちと一緒だからさぁ♪暇してないし。リコも楽しんできてよ~」


電話を切った後に、思わず深いため息が出た。


何嘘なんてついちゃってるんだろ……


でも戒が居るかもしれない、なんて言うとリコのことだから「探そう!」とか言う筈だよな。


でも迷子のガキじゃあるまいし、戒が自分で来たきゃあたしの元に来るだろう。


それを敢えてしないのは―――やっぱり何か理由があるんだろうか……


ぼんやりと考えながらも、とぼとぼと歩いていると、目の前にふっと小さな神社が現れた。


いや、ホラーやファンタジーでもあるまいし、いきなり現れたわけじゃないよ?


最初からちゃんとそこにあったけど、気付かなかっただけ。


随分古そうな神社で、古ぼけた鳥居が恭しく入り口に構えていた。


長細い石碑には“龍神社”と書かれていた。





龍―――………?





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