青い春と風の中で
「……春?、どうしたの…」

きょとんとして首を傾げていると、笹川は険しい表情のまま口を開いた。


「……葵さん。アイツに、あの後なにかされた?」


「アイツって……新倉先生のこと?」


葵が質問すると、笹川は足を止めて、拳をギュッと握り締めて、ブルブルと振るわせていた。


「――新倉しか居ないだろッッ!?……あんな最低男……」


ギリッと唇を噛んで、コンクリートの地面を睨みつけていた。


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