好きな人はスカウトマン。
「あたしに彼氏ができてなかったから、だから言えなかったって事?」



「うん、それもある」



ほらね。
圭太は変な所で優しい。
変な所で気を遣う。


そんな気だったら遣って欲しくなかった。


「彼女ができたなら早く言って欲しかったよ」



そうか。
あたしは妙に納得した。
だから、改札前で、話の続きを言えなかったんだ。

『久しぶりに美雪と話して思ったけど、やっぱり……』

その続きを言ってしまえば、彼女への裏切りになってしまう。
だから、言えなかったんだ。

プライドよりも、ずっと重いモノだったんだ。
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