好きな人はスカウトマン。
「お金なくってさ~、やってみたら意外と性に合ってたんだ~」


「どこでやってるの??新宿??」


「ううん、新宿は定期圏外だからさ~、地元の立川でやってる~」


「そっかぁ……」


あたしは言葉を失くしてしまった。

事後報告じゃ、何も言えない。

本当は「親友がキャバクラをやる」だなんて言い出したら、なんとかして止めたかった。

学生なんだし、夜の仕事なんていい影響があるわけがない。
それに、もともと由佳は人に流されやすい性格でもある。
夜の世界の人間に流されてしまう恐れがあった。

だけど、もう始めてしまっていて、しかも性に合っているなんて先に言われたら…
止められるわけがない。


でも、唯一の救いは、やっている場所が新宿ではなかった事。

大好きな人が2人も新宿に取られなくて良かった。


でも、事後報告だから由佳を止められないのと同じように、あたしに圭太のスカウトの仕事は止められない。

認めたくなかったけど、これではっきりしてしまった。
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