好きな人はスカウトマン。
どうして安易に電話してしまったのだろう……

わざわざパソコンからメールするほど、圭太はあたしと連絡を取ることに慎重になっていたというのに……


あたしは、切れた電話を握り締めながら、ただ後悔していた。

今、圭太と彼女はケンカしているかもしれない。

彼女は泣いちゃっているだろう。


―――でも、もしかしたら
もしかしたら、これがキッカケで別れてくれるかも…


ふと、そんな考えが頭をよぎってしまった。


「あたし、最低だ……」


彼女をあんな風に傷つけて、挙句の果てには別れてくれるかもしれない、と期待してしまうだなんて。

もし、自分が逆の立場だったら?
元カノが、しつこく連絡してくるなんて、あたしだって想像しただけで気分が悪いよ。
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