出会って2日の恋
出逢い
もし、自分に大切な人形があったとする。
子供の頃の自分は大切でずっと使って遊んでいた。
でも物はいずれ壊れる。そして壊れたらかなしむのは自分だ。そんな思いはしたくない。
じゃあ大切にしなければいい。大切でも手放したらいい。そしたら壊れた時、傷つかなくなる。

…まえの私の考え方はこれだった。だから何もかも、やる前から諦めていた。






高校1年。今の私は、何もかも諦めていた。こんな私にはもちろん夢なんてない。将来の自分なんて考えた事もなかった。……考えただけ無駄だし。

「みなみ〜。一緒の学校でよかったねぇ。」
「うん。そーだね。クラスも一緒だし。」
私、榊 美波はニコッと笑った。
「でもクラスどこだろーね。なんかいっぱい人いるし。」そう。私たちが今いる場所はクラス割り当てが張り出されているところ。
全1年生。約400人。人ごみが大嫌いな私にとっては地獄だ。
「もー。ホント嫌だ…。そーいえば私たちなん組?」
「んとねー。5組!だったよー。」
「そっかー。わかった。」
…ってか!この人ごみどーにかなんないの!?もーホントに嫌だ。
「ねぇ。千晴ー。」
あっ。紹介まだだった。私の友達…ってゆーか親友の高坂 千晴(こうさか ちはる)。私の唯一の親友。
「んー?どーしたぁ?」
「ちょっとトイレ行ってくるね。」
もう、この人ごみは我慢できない。
「んー。了解。ここで待っとくわー。」




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