桜散る頃
桜Episode1
春もうらら人々の間を
暖かく、優しい風が通り
薄紅色の花びらが街を美しく彩る。

4月8日、大勢の人々が新しい出会いを胸に歩きだす。

咲乃宮高等学校の入口には沢山の笑顔、笑い声で絶えず埋まっている
「これにて、咲乃宮高等学校第15回、入学式を終了する」

長く、嫌な時間が終わると生徒は皆、リラックスし、教室へと向かう

Episode1…四文字の想い

教室では生徒の声がうるさそうでうるさくない絶妙なハーモニーを奏でている。
「ねぇ、鏡ー」
不意に名前を呼ばれた鏡という少女は考え事をしていたのか反応しなかった
「ねぇ、美佳 呼ばれてるよ?」
彼女の友達が気づいたらしく美佳に声をかけた
呼ばれてる事に気づいた美佳は呼んだ友達の所へと向かって行った。
「木下から聞いたんだけど鏡ってさあ、巽希の事好きなんでしょ?」
「えっ!?」
自分が想いを寄せている人の名前を出されて無意識に声が出た「あ、当たってるのね」
と笑いぎみに言う
「いっ、言わないでよ!?」
「はいはい」
美佳の頼みを笑いながら受ける、この少女は三浦 茜 美佳の幼なじみである。
「あ、先生きたよ」
クラスの誰かがこう言うと自然に教室から声が消える。
入学式が終われば簡単な話をして、その日は終わり
「では、気をつけて帰るように」
この合図でぞろぞろと教室から生徒も先生も出ていく
美佳は一人の男子生徒に朝、教室に残るように頼んでいたのだその男子生徒は友達に気分が悪い、少し休んでから帰ると嘘をつき、美佳の頼みを聞いた。

閉めた窓には桜の花びらが絵を描き、教室の中には美佳の心臓の鼓動、二人の呼吸の音が無音を打ち消している。

美佳が、口を開いた
そして、たった一言を男子生徒に告げた。

「巽希君…好きです」
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