AKIRA

 ああ、長田は服部が好きなのか。

「ばっ! 違うだろっ!」

 でも、佐々木の言葉を真に受けたのは、長田ではなく、服部だった。

 いつにない慌てぶりだ。

 柄にもなく赤くなってるし……こいつは、長田に悪いと思って言い訳してんのか。

 それとも、晶の前だからか。

 そう思っていると、服部はぐいっと晶の肩に手をまわした。どうやら後者の方だったらしい……つか、何やってんだよっ! 今すぐ離れろっ服部!!

 俺は、何も出来ない自分に腹が立って、ギュッと拳を握りしめた。

「俺はアキに会いに来てんの!」

「え?! マジかよ!」

 マジかよじゃねぇよ、佐々木! てめぇのせいでこうなったんだろうが!

「マジだよ、なぁ、アキ?」

 気安く晶の名前を呼ぶんじゃねぇ!

「し、知らね、ない、わよ!」

「知っとけよ! 俺はアキ以外は見えませ~ん」

 見えないのは俺だって同じだよ! お前が晶を好きなのも知ってる。でも、だからって、俺の目の前で、そんな……肩なんか。

「ねぇ、だからアキも他の男見ないで」

 一瞬の出来事に、俺の頭が真っ白になっていった。

 なにが起きた? 今、服部の奴、晶に何した?





――キスだ。





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