AKIRA

晶side




~ 勝負:晶side ~



 昨日は一睡も出来てねぇよ……。まいったな……陽、亜美と付き合ってたんだ。

 そりゃそうだよな、キ、キスまでする仲なんだし。

 あ――――――――っ! もうっ!!

 こんな時に勝負なんか出来るかってんだ!

 パートナーはやっぱ彼女の方がいいに決まってんだろ?

 なのに、なんで……俺を指名なんかしたんだよ、陽。

 お前、全っ然、意味わかんねぇぞ!!

 あ、でも、先輩も言ってたっけ。





『江口の実力に対等なのは加藤だって私も思ってる』





 俺の腕か……それだけか……やっぱそうだよな~……はは、なんか、少しでも期待した俺って、馬鹿みたいだな。

 俺は、ベッドの中で思う存分捩れきって、徐に上半身を起こした。

 それから、カーテン開けて、眩しい朝日を部屋いっぱいに注ぐ。

 それにしても、近ぇ……近すぎる。

 目の前には何の景色も広がらなくて、後ろの家のベランダがめちゃくちゃ近ぇんだよな。俺の部屋のベランダと、隣のベランダ、十センチも開いてねぇんじゃねぇの?

 お隣さんとの挨拶は親父が済ましたし知ってはいるんだけど、後ろの家って付き合いねぇな……どうせ道一本違うし、あんまり顔合わす事もねぇし。

 どんな奴が住んでるのかと思って見張ってた事もあったけど、あ、男だったら嫌だからさ。でも、俺より少し年上っぽい、姉ちゃんだったな。

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