AKIRA



――……やめた。




 そう思って、俺は強く拳を握って、晶から離れた。

「あ、れ?」

 離れた瞬間に晶が、気付いた。

「目、覚めた? ここ、保健室、わかるか?」

「うわっ!」

 晶は驚いた声をあげて飛び起きた。ば、バレてねぇよな、俺が晶に触ってたなんて……やべ、落ち着け、俺の心臓!

「な、なんで、いんの?」

「は? お前が体育館で倒れたから」

 平静を装うのも楽じゃない。でも、今度こそ、お前に認められてから、触れたい。

「で、で、で?」

「で? 俺が運んでやった」

「マジでっ?!」

「マジで」

 突然、晶は頭を抱え込み、前屈みに布団に突っ伏した。

 何やってんだ、こいつ。

「そんな落ち込む事か?」

 そこまでされると、何気にちょっとショックなんですけど。



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