誠-巡る時、幕末の鐘-



奏と栄太が行ってしばらくした後……。




「……奏、何か様子がおかしかったよな?」


「あぁ。……響なら何か知ってるかも」




原田がポリポリとかきながら呟いた言葉に、藤堂が頷いた。




「響〜! どこだ〜?」




永倉も藤堂の言葉を受け、大声で響を探した。




「は〜い! 何ですか?」




屯所の中から響がたすきを外しながら出てきた。


今まで隊士達の朝食の準備をしていたのだ。


隊士達は響が来てくれて大助かりだ。




「奏だけどよ。何か今朝様子が変じゃねぇか?」




永倉の言葉に響も顔を曇らせた。




「夢見が悪かったと言ってました。それに汗もびっしょりで……心配ないって言われたんでそれ以上言えなかったんです」


「そうか」




三人は考えこんだ。




響でさえ聞けなかった。


自分達では絶対に聞き出すことは難しい。




永倉はそう考えた。



< 220 / 972 >

この作品をシェア

pagetop