誠-巡る時、幕末の鐘-



「えっ!? でも、そんなの悪いです! ご迷惑でしょうし」



 響は両手をぶんぶんと振り、眉を下げた。



「いや、まだ京にはしばらくいなきゃいけないからな。……それに、お前は妖が見えるから(ねら)われるぞ?」



 妖にとって何かの力を持つ人間は最高のご馳走だ。


 だから、近くにいた方が何かと都合がいい。



「そんな……じゃあ、お言葉に甘えてもいいですか?」


「もちろん」


「ありがとうございます! 星鈴さん!」


「あぁ、呼び捨てで構わない」


「えっ!?」


「そういや、自分から許したのは初めてかもしれないな。この名は主につけていただいた大事な名だから。まぁ、真名(まな)は別にあるが」


「そんなに大切にしていらっしゃるのに、いいんですか?」


(響ならばいい。いや、響だからこそ、か)


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