誠-巡る時、幕末の鐘-



―――翌日




「みんなどうしてここにいるの?」




奏がようやく目を覚ますと、屋敷中が歓喜の声をあげた。




「奏!!!良かった!!!」


「かあさま、どうしたの?」




奏は不思議そうに見ていた。




「奏、すまない。黙っていようと思ったんだが…珠樹は風戸に「たまきってだれ?」


『………え?』




奏の言葉に、その場にいた者全員が唖然とした。




「奏、何を言っているの?珠樹はあなたの「あたらしいおともだち?」


『………』




わざと言っているようには見えない奏の様子に、誰も言葉を発するものはいなかった。





奏は自分で、自分の記憶から自分の半身の記憶を封印したのだ。



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