誠-巡る時、幕末の鐘-

普段怒らない人程怒ったら怖い




―――屯所




「………ここは」




奏は見慣れた自室で目を覚ました。




「奏!!」


「目、覚ましたか!!」




布団の周りにはみんながいた。


一様に安堵の声をもらした。




「おめぇ、何やってんだ!!」




土方の怒声が部屋に響く。




「何って。…だから責任を」


「何の責任だ!!?総司も平助も無事だ。それで良いだろうが!!」


「みんなに…何が分かるの!!?」




奏も土方につられて声を荒げた。




バシン!!!




突然の事に頬を叩かれた奏はもちろん、怒鳴っていた土方も、周りにいたみんなも驚いた。




「いい加減にしなさい!!」




奏の頬を叩いたのは、まさかの山南だった。


普段は笑顔を絶やさない山南が、土方よりも顔を険しくしている。


仏の副長と言われる山南の普段の様子からは考えられない程の豹変ぶりだ。



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