誠-巡る時、幕末の鐘-



「お前は親か!!?」


「痛っ!!痛い!!」




奏の元老院での部下は、いつも理不尽な責めを受けている。


今も平手で思いっきり頭を叩かれた。




「奏〜??飯食わないのか〜??」


「食わないなら頂き…」


「食べるわっ!!」




どさくさ紛れて奏の食事に手を伸ばそうとしていた永倉と藤堂にも見事な平手打ちを食らわせた。




「やっぱりにぎやかだな、ここは」


「だろう??毎日が楽しくていい」




笑いと悲鳴が聞こえる中、少年、千早はのんびりと近藤と茶を飲んでいた。




「大体何でナルもここにいる!?」


「それは………秘密です☆」


「……………んにゃろ」




ナルの一言に、奏はキレた。


この頃何かが足りない。


イライラを押さえる何かが。




「ナル〜っ!!ふざけ…」


「星鈴、うるさいよ??」


「……………すみませんでした〜」




奏はレオンの言葉に小さく固まった。


鬼の角をもぎ取るのは、この綺麗な顔した魔王だ。


広間にいた誰もが確信した。


こうして、悪魔、いやいや魔王、いやいやレオンとよい子の仲間達の屯所来訪一日目は過ぎていった。



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