誠-巡る時、幕末の鐘-

雪に咲く紅い華




―――半刻後




月が丁度天上に昇った時、ある料理屋から五人の男が出てきた。


五人共、いい具合に酔っている。


ここ最近の寒さも、酔いを覚ますにはいたっていない。




「桂さん、高杉さん。今日はありがとうございました!!」


「いや、お前達には日頃頑張ってもらっているからな」


「あぁ。今度はもっと大人数で飲もう。島原辺りがいいな」


「いいですね!!行きましょう!!」




桂、高杉と呼ばれた男二人が他の三人をねぎらった。


この二人。


長州藩士、桂小五郎と高杉晋作。


長州藩の中で有力者としての地位を築き上げている二人だ。




「そういえば、その刀。どこの刀鍛冶だ?」


「これか!?凄かっただろう?」




男は興奮気味に言った。


刀を抜くと、まだ血曇りが残っている。


桂と高杉は顔を見合わせた。



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