誠-巡る時、幕末の鐘-



「は??ちょっ、おい!!………本当に寝てやがる」


「いや、その。実はな、見てたんだよ、長人達とのやりとり。その後、彼方を捕まえようとしたんだけどよ」




鈴は顔を上げ、宙を見た。


口も閉ざしてしまった。




「逃げられたのか」


「………その通り」




斎藤の静かかつ的確な確認に、がっくりと肩と首を下ろした。




「風戸からも離反したってこと??」


「あぁ。あー俺も疲れた」




そう言えば、風戸“だった”って。


そういう事だったんだ。




「俺も寝るぜ」


「あー。俺も。おやすみ」


「おやすみ」




次々と広間から出ていった。


響は余った布団を取り出してきて、紫翠と鈴にかけていた。




やっさしーなー!!もう!!




夜が明け、朝になるまであと一刻にもみたなかった。



< 956 / 972 >

この作品をシェア

pagetop