【短編集】七ツ丘中 百物語
2.手

月に一度のお掃除の時間。中学に入ったばっかりのころは面倒だったけど、3年にもなると、割と素直に受け入れられている。慣れって恐ろしい。
俺のC班は、今月は窓係。班って言っても4人しかいないから、2対2で分かれて、廊下側窓と、校庭側窓を担当することになった。

「晴れてよかったね、森くん」

机を半分引きずりながら持ってきた遠山が、外を眺めながらそう言った。

「どうすんだ、その机」
「上の窓拭くのに使うでしょ?」
「……そか」

先月、井口が窓係だった時には、手を伸ばすだけで一番上の窓拭けてたんだけど。
俺も、もちろん遠山も、そんなところに普通に届くわけがなく。
じゃっかん情けない気持ちになりながらも、机に乗るしかないのは明白。

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