夏の記憶

よみがえる記憶

タケルの姿が見えなくなると、私はふっと息をついて再びベンチに腰かけた。


胸の奥からクスクスと笑いがこみあげてくるような、くすぐったい感覚だった。



明日、またタケルに会える。


携帯電話を開いたり閉じたりしながら、私は今すぐタケルからのメールがこないかな、と密かに期待したりした。


さっきの態度。もしかしたら、タケルも私のこと……



そんな淡い期待は胸の奥でたちまち広がり、私は携帯電話をギュッと握って一人でガッツポーズをした。



明日、タケルに会える。



また会える。



そうしたら、タケルは私に何か言ってくれるのだろうか。



もしかしたら、今なら、言えるかもしれない。



私はタケルが好きだって……



ううん、きっと言える。



私が好きだって言ったら、タケルはどんな顔をするだろう。



タケルに会いたい。



今すぐに会いたい。



早く明日にならないかな。



私は勢いよく立ちあがった。



そして、何の気なくお社の方を見た。
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