Love Box:)







みちるが出て行った。

この部屋から、出て行った。




「…………」


あ、みちるの匂いがする。

それは香水のそれなんかじゃなくて、なんだろう、それはみちるという人間の匂いなんだ。

きっと俺にだけわかる。遺伝子レベルで引き寄せあっていた俺たちだから。




みちるの好きなラベンダー色のクッション。

みちるの置いていった俺にはよく解らない哲学本。

みちるの……、あぁこれはなんだ。




「髪の、毛」


細い。頼りない。こんなに。

そうだ、みちるは弱かった。いや違う、初めは誰よりも強かったんだ。

「やめなさいよ!」なんて二対大勢なのに小さな自分をいじめられっ子から庇ったりして。




あぁ、そうだ、だけど――



いつだってその両ひざはがくがく震えていたっけ。



(…なんだ、)



みちるはちっとも強くなんかなかったんだ。













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