もしも雪なら
存在

「…ん」



微かに聞こえたチャイムの音に目を開ける。
あの後、どうやら俺は眠ってしまったようで、目線を下ろすと天花が腹の上で寝ていた。

自然に手が伸び、小さな頭に触れようとした瞬間

「ガク?居ないの~?」


そんな声が聞こえて、慌てて素早く手を戻し、ソファーのラグを掴んで天花の上に掛けて隠す。



「また寝てたの?もう、寝てばっかりで…たまには外に出ないさいよ」


「…ん?うん」


「寝てるか、ゲームしてるか、たまに仕事…。いつになったら結婚するんだか…まったく」




いつも突然やってくるお袋。
この時ばかりは心臓が堪えた。

明らかに不審な膨らみ、ソファーから剥がれたラグ
ふと見れば、掛かりきってないラグから天花の小さな足が覗いてる。


いつバレても可笑しくない状況だった。

現に、お袋は何だかんだと愚痴をこぼしつつリビングに足を運び、買い物袋からジュースやらお菓子やらをテーブルに置いてる時、

目線が膨らみを辿り、天花の足を見てから、ちらりと俺を見て目だけで笑いかけてきた。

が、お袋は何も言わなかった…
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