僕が僕で生きると決めた日
ただそれだけの為に保健室に通うようになったんだ。何もいらなかった。この時はただ見つめられるだけで幸せで、時が止まってしまえばいいのにと切実に願った気がする。身体なんて触れ合わなくても、ただ、同じ空間で同じ空気を吸えることに、ただただ幸せを感じていた。出来ればキスしてみたいと思っていた。卒業までその先生はいたんだよな。最後の最後まで手を煩わせたっけな。その後も僕は、必ず好きになるのは同性だった。自分で自分をなじった。それを忘れようとする為に、学習塾では地域№1の成績になったり、書道では段位を取ったり、珠算では2級をとったり、友達と遊ぶ時間も忘れ勉学や習い事に没頭していた。おかげで今友達いないけどね。小学校5年生の時、同じクラスになった女の子「利恵」を本気で好きになったっけ。でもね。それくらいの年齢になると好きになった異性の話で盛り上がったりするわけで。俺は、素直に好きといえずに。隠し通した。今もきっと彼女はその気持ちを知らないだろう。いつか会うことがあったら伝えたい。逢えることがあるならだけれどもね。僕と利恵はいつもクラスで成績を争う二人だった。常にテストの点数を競い合い。体育でも常に競い合っていた。いつだっけ。放課後仲の良い子で残って口にセロハンテープつけてキスの練習とかいってお互いセロハンテープ越しにキスしたことがあったんだ。覚えているんだろうか。彼女は。僕にとってあれは忘れられない事件だったんだ。まさか。好きな人とこんな形であってもキスできるだなんて夢にも思わなかったから。僕は、手をつなぐだけでも本当に幸せだったから。でも、それ以外は本当に周囲にわからないようにノーマルな振りしてたっけ。
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