LOST MUSIC〜消えない残像〜


学校になんか行きたくないけど、この家にもいたくない。


だから、俺は適当に支度をすませると、リビングには寄らず玄関へ静かに向かった。


帰ってきた時のまま乱雑に脱がれた靴を引き寄せて、右からはいていく。


「奏斗!昨日はいつまでほっつき歩いてたの!」


案の定、頭上から降ってきたおふくろの怒りに俺は無視して立ち上がる。


「おふくろには関係ねぇだろ……」


「一人で育ったような口きくんじゃないの!」


大声が玄関にこだますると無理矢理おふくろの方に向かせられた。


睨み、責める瞳は雅臣にそっくりだ。



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