LOST MUSIC〜消えない残像〜
ここにいるのは、死んだ姉さんじゃない。
その姉さんの代わりでもない。
ましてや、星羅の生まれ変わりでもない。
この世にたった一人しかいない、ドジでお節介焼きな“錫代翠月”だ――。
振り返った錫代を、太陽の光が照らす。
それはまるで、優しく包み込むように。
頬には一雫の宝石のような涙がつたい、キラリと輝く。
でも、その宝石以上に綺麗なものがある。
何倍も輝きを増したとびきりの錫代の笑顔だ。
涙よりよっぽどよく似合う。
あまりにも眩しすぎて、俺は思わず錫代の頭をくしゃっと撫でてやった。